「付け回し、今日から任せるね」と言われて、内心ヒヤッとした経験はありませんか。

付け回しは、ホストクラブの売上の入口である初回のお客様の体験を左右する、店でいちばん頭を使う仕事のひとつです。それなのに、やり方はベテランの背中を見て覚えるしかなく、体系的に教えてもらえる機会はほとんどありません。

この記事では、付け回しの基本から、上手く回すコツ、ありがちな失敗、そして「勘と記憶」に頼らない仕組み化の方法までをまとめます。

付け回しとは?

付け回し(つけ回し)とは、初回来店のお客様の卓に、複数のキャストを一定時間ずつ順番に付けていく采配業務のことです。主に内勤が担当します。

初回のお客様は、その日はじめて店に来た方です。どのキャストと相性が良いかはまだ誰にもわかりません。そこで、1人あたり5〜10分程度で何人かのキャストを順番に紹介し、お客様に「また会いたい」と思える相手を見つけてもらいます。ここで気に入ったキャストが、指名、つまり「担当」につながります。

言いかえると、付け回しはお客様とキャストのマッチングを店側が設計する仕事です。付け回しの質が、初回のお客様が2回目に来てくれるかどうか(初回からの引き上げ率)を大きく左右します。

付け回しの基本の流れ

店舗によって細部は異なりますが、おおまかな流れは共通しています。

  1. 初回のお客様をご案内する — 受付で初回であることを確認し、卓に案内します
  2. 1人目のキャストを付ける — 基本は新人から。最初の1人が着いて、初回の回しがスタートします
  3. 時間で交代させる — 5〜10分を目安に、次のキャストへ交代します
  4. 手空きのキャストを順番に付けていく — 他の卓の状況を見ながら、まだ付けていないキャストを順番に付けていきます
  5. 最後に一番良かったキャストを聞き、送り出しまたは飲み直しへ — 一番良かったキャストをお客様に伺い、そのキャストが送り出し、または飲み直しの交渉をします。飲み直しがOKになれば、指名です
付け回しの基本の流れ
初回来店
卓へご案内
キャストA
基本は新人から
キャストB
順番に交代
キャストC
手空きから順に
送り出し or 飲み直し
飲み直しOKなら指名に
1人あたり5〜10分を目安に、手空きのキャストを順番に付けていく

文字にすると単純ですが、実際には複数の初回卓が同時に動きます。「A卓は今誰が付いていて何分経過か」「B卓に次は誰を付けるか」「Cは在籍上がりたてだから初回に慣れさせたい」——これらを全部、頭の中だけで並行処理するのが現場の付け回しです。

現場では、これが同時に動く
A卓(初回・2名)
  • キャストBが着いて10分
  • そろそろ交代の声かけ
  • 次はDの予定
B卓(初回・1名)
  • キャストEが着いて3分
  • 付けた履歴: A・C
  • まだ付けていないのは誰?
C卓(初回・3名)
  • いまご案内したばかり
  • 1人目は新人Fから
  • 手空きのキャストを確認
これらを頭の中だけで並行処理するのが、付け回しの難しさの正体

上手い付け回しの4つのコツ

1. 交代の時間を正確に守る

付け回しの土台は、1人あたりの持ち時間を全卓で正確に守ることです。感覚頼みで回していると、特定のキャストだけ長く付いてしまったり、交代が遅れて卓にキャストがいない空白の時間が生まれたりします。持ち時間が守られてはじめて、限られた営業時間の中で多くのキャストをお客様に紹介できます。とはいえ、複数卓の経過時間を同時に正確に把握し続けるのは、人の感覚ではいちばん難しい部分でもあります。

2. 新人を初回に付ける「育成の視点」を持つ

付け回しは売上の入口であると同時に、新人がお客様との会話に慣れる練習の場でもあります。基本は新人を最初に付けるのがセオリー。1人目という場数を新人に確実に積ませることが、店全体の育成につながります。

3. 「誰をまだ付けていないか」を必ず管理する

ありがちなのが、同じキャストをうっかり2回付けてしまう、逆に手が空いているキャストを付け忘れる、というミスです。お客様にも失礼ですし、キャストのチャンスも潰してしまいます。卓ごとに「付けた人・まだの人」がひと目でわかる状態を作るのが鉄則です。

4. 終わったあとに「振り返れる」記録を残す

その日の初回が何組あって、誰を何分付けて、どの組が指名につながったのか。記録が残っていないと、付け回しはいつまでも個人の勘のままです。実績を振り返れる形で残すことが、店として付け回しを上手くしていく唯一の方法です。

ありがちな失敗パターン

  • ベテラン1人に依存する — 付け回しができる人が1人しかおらず、その人が休むと初回の受付を絞らざるを得ない
  • 口頭伝達で漏れる — 「次◯◯入って」と口頭やインカムで伝えるうちに、聞き逃し・言い忘れが起きる
  • 交代時間がグダグダになる — 呼びに行っても本人がすぐ動けず、卓にキャストがいない「空白の時間」ができる
  • 繁忙時にパンクする — 初回が同時に4〜5卓入ると管理しきれず、受付を断ってしまう
  • 記録が残らず引き継げない — 誰に何を付けたか記録がなく、次回来店時に活かせない

どれも能力の問題というより、頭の中とアナログな伝達だけで管理していることが原因です。

付け回しを「仕組み」にするという選択肢

ここまでのコツと失敗パターンを見るとわかるとおり、付け回しの難しさの大半は「同時進行の状況を正確に把握し続けること」と「伝達を確実にすること」にあります。ここは人の頑張りよりも、仕組みで解決できる部分です。

最近は、ホストクラブの初回管理に特化したアプリも登場しています。たとえばホスクラコンシェルジュ 初回は、卓ごとの経過時間や「付けた人・まだの人」を自動で管理し、次に付けるキャストを提案、交代の1分前には本人のスマホへ直接通知します。導入店舗では、内勤1名で同時5卓を回せるようになり、初回の受付数が1.5倍になった例や、新人内勤が約3日で付け回しを独り立ちできた例もあります(いずれも導入店舗の一例です)。

まとめ

  • 付け回しとは、初回のお客様に複数キャストを順番に付ける采配業務で、初回からの引き上げ率を左右する重要な仕事
  • コツは「交代時間を正確に守る」「育成の視点を持つ」「付けた人を管理する」「記録を残す」の4つ
  • 失敗の多くは個人の能力ではなく、頭の中とアナログ伝達だけで管理していることが原因
  • ベテランの勘に依存せず、仕組み化することで店全体の初回対応の質が安定する

付け回しの属人化に課題を感じている方は、初回つけ回しアプリの詳細もあわせてご覧ください。